
「圧粉磁心」製品がサステナブルな未来を创り出す~「アキシャルギャップモータ」市场创造への挑戦~
圧粉磁心の製品ラインアップ
普及拡大に挑む専门営业グループ

「アキシャルギャップモータ」への搭載を目指した「圧粉磁心」の開発が進展していく中、専門グループが発足。新製品営業グループである。「圧粉磁心」の担当の一人となったのが、材料の研究开発に関わってきた東大地だ。営業部門への異動は、「圧粉磁心」の搭載を働きかけるには、深い知見が必要とされたからだ。
「技術開拓営業とも言うべき立ち位置です。研究部門と顧客との橋渡し役であり、現在は『圧粉磁心』の認知度向上に向けた取り組みを進めています。家電や産業機械、自动车など、モータが搭載され小型?軽量化にニーズがある業界はすべて、採用の可能性を秘めています。展示会やホームページによる商品訴求、社内ネットワークによる顧客紹介など、さまざまな機会を通じて『圧粉磁心』の優位性を発信し、まずは関心を持ってもらう活動を推進しています。お客さまの多くが、設計?開発部門の技術者。それぞれのニーズをヒアリングし、開発部門に投げかけて、試作?提案する取り組みを進めています」(東)
そうした活动の中で、グローバルな空调総合メーカー、ダイキン工业(株)(以下、ダイキン)が、「アキシャルギャップモータ」开発の準备を进めている情报を得た。东は、先方の设计者とコミュニケーションを重ねていく中で、「圧粉磁心」採用の手応えを感じた。そのバトンを受け継いだのが、中江翠である。
家庭用空気清浄机に搭载された「アキシャルギャップモータ」

「焼结部门一丸となって、必ず採用に结びつける覚悟で临みました。ダイキン様とは、轴受けなどの焼结製品ですでに取引があり、调达部门とは接点がありました。しかし今回は、新しい试みであることから、打ち合わせ时は设计部门メンバーに同行してもらいました。ダイキン様の技术者に向けて、『圧粉磁心』を含めた技术交流会も开催。ダイキン様が『アキシャルギャップモータ』开発に前向きでしたし、技术者同士の理解?纳得もスムーズに进んだと思います」(中江)
圧粉磁心採用のためには、2~3年以上をかけられる自动车業界と異なり、開発から量産まで1年という極めてタイトなスケジュールが要請された。それを実現するには、製造?開発それぞれの部門の密な連携が必要だった。また、従来から搭載されている電磁鋼板が採用される可能性もあった。中江は、形状自由度という「圧粉磁心」の優位性を訴求していった。そうした中、さらなる課題として、住友電工が特許を有する両端面に「ツバ形状」を付与した「圧粉磁心」が求められた。性能を維持したまま薄型化することが可能になるが、量産実績はなかったため、実現に向けた検討が急ピッチで進められた。こうして2023年1月受注、同年5月量産開始へと短期間で漕ぎ着けたのだった。中江は、大きな安堵感を覚えたという。ダイキンの担当者である高山佳典氏は次のように語っている。

「アキシャルギャップモータの开発をスタートするにあたり、新しい要素技术を适用したいと考えていました。そんな折、形状自由度が高く、少量生产にも适している住友电工の『圧粉磁心』に巡り合いました。ポイントの一つが、両端面にツバ形状を设けたこと。磁石との対向面积を确保しつつ、巻线の平均周长を短くすることができ、モータの薄型化と高効率化が実现しました。住友电工には、今后もオンリーワンの製品をどんどん提案していただきたい。また、モータ用『圧粉磁心』をもっと広げていくためにも、低コスト化を実现する材料?モノづくりにチャレンジしていただきたいと思っています」(高山氏)
旺盛なモータ需要に応える「圧粉磁心」

「アキシャルギャップモータ」用の「圧粉磁心」の量产は、国内はもとより世界的に见ても先駆的な取り组みである。
「当社において『圧粉磁心』の歴史は四半世纪あり、その间、高効率化や省エネルギー性など确実に进化してきました。モータの设计?开発において电磁钢板から『圧粉磁心』への転换を促していくのが私のミッションです。『圧粉磁心』の持つ特性を最大限活かせるのがアキシャルギャップモータであり、市场としても非常に大きい。お客さまの设计?开発において障害となっている课题を见出し、『圧粉磁心』の新しい市场を创り出すのが目标です」(东)

焼结製品事业部の営业部を率いているのが、部长の芝井启行である。芝井は住友电工グループが生产するすべての焼结製品の営业を管辖しているが、「圧粉磁心」への期待は大きい。
「まずは産業機器、家電、自动车などの業界が、私たちがアプローチする市場になります。特に自动车は電動化が加速しており、小型?軽量化を実現する『アキシャルギャップモータ』へのニーズは高いと考えています。さらに『ヒューマノイドロボット』の普及拡大があります。今、国内外で、生成AIも含めた最先端の技術を搭載したヒト型ロボットが続々と誕生しており、ロボットがあらゆる労働を肩代わりする時代が、そう遠くなく実現するでしょう。歩行といった動作はもちろん、腕や肘、指、足などの動きはすべてモータ制御されますし、指の関節などは超小型モータが必要とされます。当社が先行して取り組んできた『圧粉磁心』が力を発揮し、大きなビジネスチャンスになると考えています」(芝井)
四半世纪の歴史を持つ住友电工の「圧粉磁心」は、新たなフェーズに入った。「圧粉磁心」の普及拡大は、モータ开発の世界を変えていくだろう。小型、軽量、高出力、リサイクルによる省エネルギーの実现が、サステナブルな社会を支える一翼となっていく、その时が来るのはそう远い未来ではない――。



「2024年度(第46回)日本粉末冶金工业会赏」で、工业会大赏を受赏
住友电工は、「アキシャルギャップモータの高性能化に贡献する両ツバ一体圧粉磁心の开発」で、2024年度(第46回)日本粉末冶金工业会工业会大赏を受赏した。
本开発では、圧粉磁心を铜线が巻かれる部分の上下両侧にツバが张り出した形状とし、両ツバ一体圧粉磁心の全长の高い寸法精度と、电磁钢板の磁心に対し品质の优位性が认められた。